妄想成長法

僕はもうかれこれ何千何万という数のインタビューに答えてきました。
時には五時間以上にも及ぶロングインタビューもありました。
それもこれも全て、独り言であり、妄想です。

しかしこれは自分の成長法の一つなのです。あとで考えてみると、妄想の中での自分は、現実の自分の一歩先をいつも歩いています。だから妄想を終えると、いつもその妄想に一歩届いていない自分を自覚し、がっかりするのです。しかしそれは「一歩先」なので割とすぐにその一歩を進みます。妄想によって、次の段階の自分が明確にイメージできているのでしょう。イメージできたことは実現できること。そうやって成長しなが ら一歩一歩、妄想も共に進化していくのです。


数年前まで僕はよくセルフポートレイトを撮っていました。セルフタイマーで自分のプロフィール写真を撮るのです。出来あがった写真を見るたび...あら?と、何か違和感を感じるのが常でした。そこに写る自分が頭の中の自分に追いついていないのです。なんと恥ずかしい話でしょう。簡単な話、頭の中ではもうちょっとイケテルはずだ...と自分のことを思っているのですから。そういう恥ずかしい現象が頻繁に起こっていたのだと思います。しかしその分、変化だけは速く、次へ次へと成長してきたことは間違いないと言えます。
いつ頃だったか忘れましたが、セルフポートレイトを撮ってみたとき、そのいつもの違和感が消え ていました。自分に追いついたのです...写真においては...。
このセルフポートレイトの話も妄想成長法の一つだったと言えます。


あれはいつだったか...自分の独り言があまりにも凄まじいので、それを録音してやろうと試みたことがありました。結果は悲惨です、マイクを意識した自分はその日、全くしゃべりませんでした。


こうして色々考えてみるとやはり自意識過剰きわまりないなと再自覚しますが、確実に自分はこうして成長してきたのだなぁと、つくづく思います。妄想は頭の中を整理する良い方法ですし、自分の心の動きを知る良い方法です。

ちなみにインタビューにおける質問は、当然ながら同じ質問が定期的に繰 り返されるものもあります。これまで最も多かった質問は何だろうか...?


「なぜこのような楽器を作ろうとお思いになられたのですか?」



2012.01.18

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