ブナ帯文化と縄文文化
先日、馬喰町ART&EATというスペースに行ってきた。土取利行さんと交流のあるスペースということで興味を持ち、HPを見てみると...板張りの床の上に美しい家具が並んでいる。フードメニューをはじめART&EATの掲げるコンセプト通り、気持ちの良さそうな空間がうかがえた。自分の楽器も似合いそうだと感じたので、ぜひ実際に行ってみたくなった。
用事があったため、19:00閉店のART&EATに着いたのは...19:00だった。少し過ぎていたかもしれない。おそるおそる戸を開けると、奥からオーナーの武さんがやって来て、閉店であることを告げられたが、事情を話すとすぐに快く中に入れてくれ、それどころか丁寧に展示中の内容について説明をしてくれた。その展示は、林のり子の夏期学校というもので、タイトルは「林のり子+〈食〉研究工房の仕事展」この展示が素晴らしかった。そして偶然にも林のり子さん本人がその場におられ、幸運なことに本人の口から展示について話を聞けた。
林のり子さんは〈ブナ帯文化=縄文文化〉と考え、世界各地のブナ帯のフィールドワークや、その地に根ざす「食」や生活、感性などに触れ、そこに日本人のルーツを見出す独自の文化論を早くから提示してこられた方である。その展示にあったように、世界各地に残るブナ帯の文化には多くの共通点があるようです。興味深いのは日本と北米インディアン、それとケルトの地域に共通点が見られること。そしてそれらには同じようなブナ帯の豊かな自然があるということ。生き物はみな環境の中で育ち生きていくのだから、近い環境に近い文化が生まれるのは当然のように思われるが、それを実際に調べ歩いて提示するというのは、並々ならぬエネルギーが必要である。そのエネルギー源は「自然の楽しさ」「食の楽しさ」そしてそれを心の底から「面白い」と思う感受性の深さであろう。
馬喰町ART&EAT。
とてもよい空間だった。
2011.08.27