秋刀魚の燻製
兎に角、燻製が好きだ。
燻製にした食物の持つ独特の「味」がたまらない。口に入れた瞬間に身体の細胞のひとつひとつが、その「味」を最高だと...そう評してやまないのだ。
思い立った私はついに自宅で燻製を作ることにした。秋刀魚の燻製だ。サンマと聞いて珍しく思われることだろうが、それには理由があって、至って簡単な話だが...以前知人に頂いた秋刀魚の燻製が驚くほど旨かったのだ。
秋刀魚のはらわたを取り除き、きれいに水で洗い、塩とバジルとローズマリーでまぶし、冷蔵庫で一日寝かす。次の日、塩抜きのため30分ほど水にさらしてから、麻ひもを秋刀魚の口に通し、それを3時間ほど軒先に吊るし天日干しにする。その間、猫たちが鼻息を荒げて飛びまわるのを、ひたすら監視する。庭にて、中華鍋に敷いたアルミホイルにスモークチップと中ザラ糖を適量混ぜ合わせ、まんべんなく広げる。その上に金網をかけ、秋刀魚を置き、蓋をする。最初だけ強火で煙を出したら、すぐに極小火にして、そのまま4~5時間ひたすら燻す...。
こうやって自家製の秋刀魚の燻製が出来上がる。さっそく頂くと、上出来であった。程よく色も付いて見た目も良し、味も良し...。
さて、
阿呆ほど手間をかけて、燻製料理を作る話を聞いて...「何てこいつは凝り性なんだ」とか、「味のあるグルメな奴だぜ」とかお思いでしょうが、残念ながら私はそうではなかったようです。
私自身...食べ終わってから気づいたのだが、この日私の食卓に並んだのは、自家製の秋刀魚の燻製、インスタントみそ汁、コンビニのおにぎり2ヶ...なのであった。
2010.10.10